「大切な人」


 「数々の悲しきことのある中に、悲しきことに遇えるものかな」
 この歌は石川啄木が母を失った時に詠んだ歌です。私たちは生きて生活をしていますと、
色々な悲しい事に遭遇します。友人や恋人と別れたり、病気になったり親しい人が亡くなったりと。
しかしそういう数々の悲しきことのある中で、我が母を亡くした悲しみに勝る悲しみはないという歌であり
心であります。真に真実であります。

 「十億の人に十億の母あらんも我が母に勝る母ありなんや」
 昨年は覚念寺檀家さんにおいて例年よりも多くの方が亡くなられました。
百歳を超えられた方も三名おられました。
 明治・大正・昭和そして平成と四代を時代の大きな変化の中でそれぞれにそれぞれの家庭を守ってこられました。
心から敬意を払うものであります。

 「恋しくば南無阿弥陀仏をとなうべし、われも六字のうちにこそすめ」
 どなたにもこなたも亡くなられた方が恋しいときは、南無阿弥陀仏と称えてください。
お念仏することこそ母に遇える道であり、涙の中で慰めは念仏よりほかにありません。
亡くなられた方々は仏様となられ、私たちは育み導いていてくださいます。
声なき声に励まされて、亡き人の願いにうなずきながら一日一日を大切に過ごさせていただきましょう。